ポッティングシェッドにしてはめずらしい、くじらの柄のお皿に載るのは、
ノアドゥブールのカトルカール。

学生時代、初めてお菓子を作ろう！と開いた今田美奈子さんの本の中で、
真っ先に惹かれたのは、このカトルカール。
Quatre-Quarts、つまり4分の一が４個、
小麦粉、バター、砂糖、卵を同量で作るケーキ。
（英語でパウンドケーキも、それぞれ1パウンドずつという意味で、同じ）

たった4種類の材料を、しかも同量、混ぜ合わせて焼くだけという
シンプルなものながら、出来上がる度、味が違う。
その不思議さにはまって、何度となく作ったものだ。

ノアドゥブールの焼き菓子は、どれもシンプル。
シンプルだからこそ、素材と腕が勝負。

素材を吟味し、最大限生かせるように、腕を磨く。

ナンタケットバスケットにも共通している。

木と藤（と革と真鍮）だけで作るナンタケットバスケット。
いい加減な素材を選んだ時点で、それはナンタケットバスケットとは言えない。
木なら、桜、樫、胡桃、楓、黒檀、紫檀などなど。
良い素材でできたベースやハンドルは、時が経つほどに味わい深い。
けれど、安価な木でできたものは、時が経つにつれて、みすぼらしくなる。

せっかく良い素材を使っても、腕が伴わなければ、台無しになる。
選んだ素材を、精一杯生かすために、試行錯誤しながら、
丁寧に編み上げ、組み立てる。

何度作っても違う味になったカトルカールと同様に、
何度作っても違う顔を見せるナンタケットバスケット。

どちらも、シンプル故に、ごまかしがきかず、奥が深い。
一個一個紙に包んでくれるのも、
自分たちの作品を大事にしている証拠？！




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